茅葺き民家伝承の意義と対策
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岩手で茅葺き技術の伝承を
促進する委員会事務局
代表  吉岡  裕  副代表  戸田忠祐


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岩手茅葺き促進委員会の歴史


2000年
2月 委員会の斡旋により、歴史的建造物愛好協会・ローカル・アートクラブ(岩手県浄法寺町NPOグループ)が岩手県肉牛生産公社都南牧場内の茅場で茅の刈取り、搬出を行った(約3ヘクタール)。
4月 茅葺き通信第5号発行、配布。
7月 委員会メンバーと岩手大学農学部、農水省東北農業試験場総合研究室関係者による金ヶ崎牧野、農業大学校圃場、都南牧場で茅場適地の現地調査実施、何れも茅場適地と判断さる。その後、戸田、日野杉などの現地調査が続く。茅場開発可能性強まる。 ラジコントラクター(茅場候補地の雑草木のクリーニング用)の性能現場調 査。茅場開発への利用可能性を確認(玉山村県畜産研究所外山畜産研究室)。 戸田、吉岡によるスズキ産業の茅場現地調査(宮城県河北町)。スズキ産業鈴木 社長から岩手における茅場開発について意見を聞く。
8月下旬、滝沢村大石渡曲り家(代表宅)の屋根3分の1の葺き替えが「茅 葺き110番」とスズキキ産業(佐々木棟梁)によって実施(約10日間)。
10月 「里山保全ボランテイア活動助成金(日本財団)」の交付決定(本年10月から来年3月末までの委員会による茅場開発管理活動が対象)。 岩手県立博物館に委員会、県庁文化國際課、肉牛生産公社関係者集合、今後 の委員会活動について協議。
11月 都南牧野、金ヶ崎牧野、岩手県立農業大学校内の茅場適地のラジコントラクター及びシュレッダーによるクリーニング実施(合計約10ヘクタール)。
12月 都南牧場茅場(約3ヘクタール)の刈取り、結束、島立て作業を終了。 航空写真および衛星データによる県下の公共牧場を中心に茅場適地の図上調査および一部現地調査(岩手大学農学部協力)実施、相当規模の茅場適地を発見。

2001年
1月 岩手で茅葺き技術の伝承を促進する委員会のホームページ立上げ(日本財団助成事業) URL:http://www.bl-net.com/kayabuki
関川昭洋「岩手の茅葺き民家写真集」のCD-ROM刊行(非売品)
4月 日本財団への報告書として岩手県内茅場適地調査報告書(戸田忠祐)を提出。
岩手県下の茅場開発モデル地域の設定と開発方式の提言の取り纏めと配布。
5月 前沢町役場、岩手県立農業大学校等と茅場開発について協議を重ねる。
滝沢村大石渡曲り家(代表宅)の屋根の葺き替えが去年に続いて実施(スズキ産業、佐々木棟梁、その他)
6月 同上葺き替え終了(約45日間)
7月 NPO法人(特定非営利活動法人)の設立申請(岩手県盛岡地方振興局宛)
委員会開発モデル茅場の茅の需要者として考えられる水沢市正法寺本堂葺き替え工事の事業者の鹿島建設工事事務所長及び設計工事管理の文化財建造物保存技術協会技術者に対する委員会活動の紹介を開始。
8月 金ヶ崎町六原所在の遊休県有建物の茅倉庫としての使用許可について県への申請準備を開始。
9月 「茅葺き通信」第7号の発行配布。 盛岡振興局長より「特定非営利活動法人設立認証書」を愛く。 盛岡地方法務局に特定非営利活動法人の設立登記完了。
10月 設立登記完了届を盛岡地方振興局に提出。
正法寺本堂葺き替え工事関係者と六原、金ヶ崎の両モデル茅場の現地調査。
各モデル茅場での茅の刈取り作業グループの結成を具体化する。都南茅場(中村組)、六原茅場(石川組)、金ヶ崎茅場(高橋組)
金ヶ崎高橋町長に代表が面会、委員会が進める金ヶ崎牧野を中心にした茅場開発の意義とシステムの全体構想を説明。協力を約される。
11月 六原、金ヶ崎の茅場で各作業グループに対する茅刈技法の研修会を開催(宮城県北上町より鈴木社長及び首藤副棟梁が講師として出張)。
3箇所のモデル茅場で茅の刈取り作業開始。
12月 中旬までに茅の刈取り作業終了。
来年の委員会活動のための諸準備を進める。

 2002年
(概要)
(1)2001年9月NPO法人化した岩手茅葺き促進委員会は、対外的信用を高めることが 出来、県、市町村その他の公的私的機関との折衝上非常に役立った。また茅葺き通信第8号及び特集号、ホームページの更新などは、委員会の活動状況の広報及び評価に役立った。
(2) 「茅が人(茅葺き職人や茅収穫技能者)を連れてくる」との大方針を立てた委員会の2002年の活動は、岩手型モデル茅場の機械開発・管理と多様な企業化実験を含む茅の収穫作業の実施に集中した。これには、岩手県・金ヶ崎町の地域活性化事業助成を受けることができ、事業の進展に大きく貢献した。
(3) 以上の結果、2002年春には4300束(2尺〆)の半スグリ茅の収穫を終え、茅倉庫に収納したが、この茅は、水沢市正法寺本堂の屋根葺き替え用として、2003年の納入が約束された。また2002年末までには、同年内に成長した茅が収穫され、葉つき茅約1万束の刈取り、島立てが終り、2003年春には、搬出可能な状態となった。これによって、将来この地方における茅場の機械開発管理、茅の収穫方法などについての企業化モデルの見込みがほぼたった。またそのことを県内外の指導者、関係者に周知をはかるため、草原サミットを開催した。
(4) これと合わせて、県内の茅および茅葺き需要を具体的に掴み、それに対応する茅および茅葺き職人の供給斡旋に着手するため、茅葺き相談窓口を開設し、そのことを県内へ広報した。その結果、いくつかの照会があり、実際に委員会の斡旋で屋根の葺き替えが可能となった事例も生まれた。
(5) また県内の将来の茅と茅葺きの需要者をまとめて市場を形成するために、茅葺き民家の県内所在名簿の整備に着手するとともに、当面少数の茅葺き民家所有者による茅需要者協議会を発足させた。これには日本青年会議所の「まちづくり助成事業」による助成が事業の促進に貢献した。
1月
(財)都市農山漁村交流活性化機構を吉岡代表訪問。上野、平岡両氏と委員会の活動状況を話 し、今後の交流を約す。全国茅葺き民家調査中間報告草案を受取る。
2月

@ ホームページ更新(NPO法人登記公告、英語版全面更新、その他)
A 茅葺き通信第8号発行、配付(配付先300人)
B 文化庁文化財保護部建造物課の武内、江面氏を吉岡代表訪問、面談。委員会活動の趣旨及び活動状況を話し、今後の支援を依頼。今後の連絡を約す。
C たばこ産業弘済会、いわてNPO基金、トヨタ財団に助成申請したが、採用されず。
D 正法寺鹿島事務所佐藤所長、文建協本多所長を代表ほか面会。委員会が今春収穫する茅の納入について協議。
3月
まちづくり助成金(日本青年会議所)助成申請を行ない、20万円を認められる。(内容は 岩手県内茅葺きネットワークの結成、相談窓口の開設など)

4-5月
@ 岩手県より六原茅倉庫(遊休県有行政財産)の平成14年度内有料使用許可を獲得。
A 正法寺納入用に委員会のモデル茅場から収穫される茅を向けるためには、文建協の方針としてスグリ茅を求められているので、委員会が昨秋収穫を委託した茅は刈払い、雪の下で越冬した状態で4月の融雪期を迎えたが、これをすぐるためには、茅場の現場で加工する方針が決まった。
B 金ヶ崎(六原)モデル茅場に主要会員、金ヶ崎シルバー人材センター関係者その他作業員が集合、昨秋刈倒した茅の現場でのスグリ、搬出などの技法について協議、講習を行う(2回)。
C 三箇所のモデル茅場(都南、六原、千貫石)においてスグリ、結束、六原倉庫への搬出を開始する。しかし、全スグリは非常に労働力を必要とするので、半スグリ茅の収穫に方針転換する。作業労働力の調達が十分でなく、スグリ作業に不慣れなことや、雨天の日が多かったために、能率は上がらず、作業は大幅に遅れ、5月一杯、一部は6月にすれこんだ。このために茅の色が黒ずんだ。
D 六原モデル茅場の収穫後の地区で出火。約3ヘクタール焼失。消防車出動。幸い延焼なく、収穫した茅にもとくに被害なし。
E 都南茅場は、搬出困難な地区は放棄し、収穫済みの茅は六原倉庫に搬入した(470束)。
F 最終的に六原倉庫に集積された茅の数量は半スグリ茅、2尺〆、4325束であった。
G 米国の伝統建造物保存運動家ハーバード大学在外研究員Ms. Mary Humstoneが岩手県滝沢村の代表宅訪問。伝統建造物保存運動について意見交換。
6月
@ 平成14年度第1回理事会・総会を開催(6月4日)し、平成13年度事業報告、収支計算書、平成14年度事業計画、収支計算書などを審議、議決した。
A 盛岡税務署、岩手県盛岡振興局県税部、盛岡市市民税課とNPO活動に関する税務問題について協議を重ねる。非収益事業については免税となる。茅収穫作業の委託は請負作業とするが、茅の販売を含むので収益事業の開始届を提出する。
B 岩手県水沢振興局・金ヶ崎町の地域活性化事業調整費助成契約確定。事業内容は、茅収穫企業化実験事業、草原サミットの開催、茅生産研究会の開催。
7月―9月
@ 茅需要者関係名簿の作成、協議会結成時の事務局担当、その他の事務を高橋会員に委嘱
A 岩手県茅需要者協議会(吉岡、村上、木藤古の3家)発足。事務局を高橋会員に委嘱。
B 日経新聞(岩手版)、毎日新聞(岩手版)、胆江日日新聞、朝日新聞(岩手版)、岩手放送テレビなどで委員会の活動状況が報道される。
C 農林水産省退職者の会で代表が茅葺き運動の話をし、農林友の会新聞(1月号)に要約 が掲載された。
D 茅葺き相談窓口を開設し、広報(県関係部署、市町村、マスコミ等)を行う。
F 六原倉庫及び保管茅(半スグリ茅4325束)の火災共済契約を締結。
G 正法寺鹿島工事事務所長佐藤氏と委員会収穫茅の納入条件について折衝するが、今年 度予算が決定するまで(秋)決定できないとの意向判明。
H 文建協東京事務所長日塔氏の正法寺訪問を契機に、伝統的「葉つき茅」を主体に本堂 屋根の葺き替えを行うとの方針が確定されたとのこと。これにより、委員会の岩手県 における茅の生産方針も、伝統的な茅の生産方式に戻ることに転換。
I 草原サミット開催(9月15日)。午前中岩手県立農業大学校研修室において約50人の 参加者の参加を得て、セミナー開催。代表座長。パネリストは猪苗代金ヶ崎町企画振 興課長、戸田副代表、日野杉棟梁、木藤古ばったり村長、日塔文建協東京事務所長。 昼食後、千貫石茅場に移動。六原鬼剣舞演舞。その後戸田解説。日野杉、石川茅刈り 実演。
J 茅葺き通信特集号(草原サミット報告)300部印刷、260部配付。
10月
@ 草原サミット反省会・今後の計画打合せ会を主要会員によって開催
A 茅葺き民家名簿、茅葺き職人、茅収穫作業員などの名簿(原案)作成。
B日本ナショナルトラスト現地調査団(筑波大学安藤教授ほか)金ヶ崎モデル茅場調査。
C 日野杉さんから「歩行式牧草フロントモア」を譲受け、農業大学校機械庫に保管。
11月
@ 6日、金ヶ崎茅場現場に委員会関係者、金ヶ崎シルバー人材センター作業員など集合。葉つき茅の2尺〆、20-30束で島立て。風を通すように風向きの方向に穴をあけることなど講習。
A 11日、金ヶ崎地方に初の大雪。六原茅場の茅の多くが倒伏。しかしその後の融雪で立ち直ったものも多い。千貫石茅場では突風で島が倒れた。その対策に委員会関係会員は忙殺される。 (早い今年の大初雪で五箇山(2万束予定)及び白川郷(1町歩)の茅場が全滅したとの情報あり。来年の茅の全国需給は逼迫の見込み。)
B 23日、現場協議(委員会側、金ヶ崎シルバー人材センター)、今後の刈取り方針決定。
C 地域活性化資金執行状況調査書を県及び金ヶ崎町に提出。
12月
@ 19日、モデル茅場の最終段階の収穫状況の検分調査を茅収穫作業の関係者全員(約15人)が現地において実施。
A 10日、六原地区旧桑園で約1ヘクタールのストローカッターによるクリーニング実施。
B 12月25日で金ヶ崎モデル茅場(六原、千貫石)の茅収穫作業を終了。島立て数量は約1万束(2尺〆、島立て)の見込み。
C 委員会協力会員の木藤古徳一郎氏を代表とする山形村かやぶき「結っこの会」設立。委員会の代表以下主要会員が顧問となる。
D 13日、歩行式牧草フロントモアの茅刈り試運転。
E 22日、三陸町今野氏から「汎用式農機具1KANEKO一式」を譲受け、茅倉庫に保管。
〇 この1年間委員会に茅葺き相談があった案件
@ 町田市加藤氏より茶室屋根の葺き替え工事用茅の入手について相談。スズキ産業より供給。
A 青森の長谷川兄弟(工務店)(十三湖の葦を利用した葦葺き屋根のロッグハウスの建売を計画。欧州式の葦葺きを勉強するよう示唆し、文建協日塔氏の話を聞くよう勧告。
B 沢内村米沢氏(土建業)来訪。茅葺き技術を本格的に覚えたいとの希望。鈴木社長を紹介。
C 滝沢村藤倉家より葺き替え相談。見積り実施)。
D 広島県の須磨(屋根屋)から茶室の屋根葺き用茅と職人の入手方法について照会あり。
E 青森県の茅葺き業者野村産業社長野村登氏より挨拶電話あり(手づくり村新茅葺き民家葺き替え作業実施)。
F 文化庁文化財保護部建造物課竹内氏より、岩手近県の東北地域からの茅葺き相談に委員会を紹介してもよいか、との問合せ。応諾。
G 県文化国際課より相談窓口を県のHPに紹介したいとの申入れ。応諾。
H 群馬県筑紫豊氏より現在のトタン葺き屋根を茅葺きに戻したいとの希望で、委員会の制作ビデオを貸出す。
I 岩手県室根村及川順子(六原卒業生)より母屋、馬屋、納屋の屋根の葺き替え相談。スズキ産業を紹介。納屋と馬屋の葺き替え実施。
J 群馬県萩原氏の門の茅葺き屋根の修復相談。見積り予定。
K 岩手県県土整備部管轄御所湖広域公園内の曲り家の屋根修復について相談。見積り予定。
2003年
1〜3月
茅葺通信第9号発行、配布。ホームページ更新を行った。
茅葺相談が各所から寄せられ、いくつかのケースで今年好結果を生んだ。室根村及川家の納屋、馬屋の屋根葺き替え、群馬県の歌舞伎門屋根葺き替え、御所湖広域公園南部曲り家(岩手県所管)の屋根一部修復、岩手県紫波町指定文化財武田家屋根一部修復など。
委員会が受けた岩手県地域活性化実験助成事業の一部として、金ヶ崎町茅場の茅生産技術に関する研究会を開催し、成果があった。これをもってこの事業を終結したbr。 県有地300ヘクタール(金ヶ崎町)の茅場を中核にした環境保護的土地利用(里山)と茅葺職人養成確保に関する総合計画を作成し、岩手県農林水産部や金ヶ崎町への提案活動を開始した。これはこの一年間継続した。
4−7月 
六原倉庫から昨年産茅約4000束(二尺〆)が水沢市正法寺本堂屋根葺き用に鹿島建設によって搬出された。
 御所湖広域公園南部曲り家修復・地元管理活用システム開発委託業務についての協議が岩手県県土整備部との間で始まった。本契約は8月末締結した。
 平成15年度の理事会、総会を開催。届出を終了した。
 法人税納税事務(赤字)を盛岡税務署と岩手県、盛岡市税務部課との間で処理(盛岡市には均等割納入を求められた)。
 昨年秋収穫し、茅場で越冬、今春茅場から搬出した平成15年産の茅の数量は全体で次のようになった。六原茅場(約7ヘクタール)の収穫量は、正法寺向け搬出量が約4,700束、金ヶ崎町シルバー人材センター作業員の搬出量が約1500束、合計約6000束。千貫石茅場(約5ヘクタール)の収穫量は、人材センター作業員の軽トラ運搬分が約1000束、その他トラック、トレーラ運搬分が約3000束、計約4000束。両方の茅場からの搬入数量は、正法寺分(約4700束)を除き約5500束となった。
ところが、倉庫に搬入した茅束の多くが不揃いで商品にならぬと判定され、急遽調整作業を行った。その作業は、再び金ヶ崎町シルバー人材センター作業員に委託したが、能率は上がらず、作業期間は2ヶ月を要し、茅数量の目減りと手間で予想以上のコストとなった。次回には、品質確保手段の必要性が痛感された。
 県から有料使用許可を得ている六原茅倉庫の屋根から雨漏りがあり、業者に頼み、応急処置をした。
 葦の大型機械刈を実行しているといわれる青森県北津軽郡岩木川下流河川敷の葦場を有志会員で見学した。薄の大型機械刈については、否定的な結果に終わったが、冬場の茅の保管、乾燥方法などについては、多くの示唆を得た。
8−10月 
青森県生活環境部技官より茅葺き集落の保存活用について意見を求められた。その他、岩手県葛巻町教育委員会、山形村ばったりー村、室根村及川家、紫波町武田家など、利活用、地元管理などについての相談が増える傾向がある。グリーンツーリズム、都市農村交流などが課題となる。
 寺からの依頼で、引退していた日野杉栄棟梁(会員)が、委員会の生産した茅を使って、昔本人が葺いた矢巾町龍泉寺山門の屋根を葺替えた。
 8月末、盛岡地方振興局土木部と御所湖広域公園南部曲り家の修理と茅葺技術研修、地元管理活用システムの開発業務の委託契約を締結した。
 屋根の谷部分の修理が宮城の棟梁などによって行われるのと同時に、9月2日、現場で1日ワークショップを開催した。午前見学会、昼食交流会、午後セミナー。県内から全体で約50人を招待参加。盛会裡に終了し、有意義であった。
 全体委託業務の報告書を作成して提出した。
11−12月
 数回の室内、現場での金ヶ崎町シルバー人材センター作業員との打合せ、技能研修を行った後、千貫石茅場及び六原茅場において茅の刈取り、結束、島立て作業を開始した。今年は、風による倒伏防止施設として建設廃材の鉄棒を杭として茅場に立て(これには西風による風通しのよさも考慮する)、これに20束程度の茅を寄せ掛けて島立てし、その先端を自転車の廃材ゴムチューブで縛り、風対策を強化した。また刈払機に装着する実用的な集草用金具の開発に成功した(石川会員)。
 また短期間ではあったが、宮城県の3人と秋田県1人の茅葺職人研修生が岩手県立農業大学校研修施設(六原)に宿泊、刈取り作業に参加し、将来の茅葺職人養成プログラムのよい先例となった。
こうした対策の成果は顕著で、刈取られた茅束は、去年と違い正しく二尺〆となり、また強風によっても倒伏した島は見られなかった。
 去年は、東北地方は冷夏のために岩手県は3割近い米の減収となったが、イネ科植物の薄にも同様の現象があり、丈不足、出穂のない茎などが見られ、平年よりは減収した模様である。最終的な検収の結果、二箇所の茅場で合計9000束弱の収穫が見込まれている。
 茅の収穫作業は12月下旬をもって終了した。この3年間の茅場開発管理、茅の収穫作業の実施を通じて、茅の企業的生産システムモデルに関する基本的な技術的経済的データは大体出揃ったと思える。来年は企業化に着手できるのではないか。今年の県内や県外の茅葺需要を考えると、さらなる茅場開発の可能性開けるのではないか。

2004年(平成16年)
 委員会の平成15年産茅から2240束出荷済み
(1月)
 紫波町武田家を守る会発足(委員会支援)
 金ケ崎町町長と戸田副代表及び(有)スズキ産業鈴木社長の茅場開発懇談会。
 茅葺き通信第10号の制作配布
(2月)
 委員会が推進した岩手県の茅産業支援事業(農林水産部提案)が県の正式施策として採択発表された。
事業名:茅文化保存システム支援事業
事業内容:茅倉庫改修工事費(県直営)144万円
      金ケ崎町へ補助金(半額補助)163万5000円(事業費327万円)
     (職人養成講座開設、シュレッダー、バイダンー整備費) 
その結果、委員会が開発してきたモデル茅場を基礎に、金ケ崎町県有地を茅場として使用することを金ケ崎町に許すとの県・金ケ崎町の方針が確定した。
 宮城県北上町の山茅及び葦の茅場及び大型刈取機械の現地調査(委員会有志会員参加)
(3月)
 代表が東京本郷の文建協を訪問、懇談(日塔氏、窪寺氏、その他)
 岩手県立農業大学校研修館において県農林水産部主催の協議会開催。出席者は、委員会側、金ケ崎町役場、水沢広域森林組合、金ケ崎町シルバー人材センター等茅場開発管理事業関係者。県側より支援事業の説明とそれをめぐる協議を行った。
 金ケ崎町茅場から島立てされた茅の倉庫への搬入、保管作業を金ケ崎町シルバー人材センター登録作業員の手で行う。春先の強風で倒伏した茅は、別途乾燥保管措置をとる。
(4月)
 委員会の会員集会を開催(松園活動センター)し、総会付議事項について事前協議を行う。
(5月)
 委員会の平成16年度通常総会を開催(場所同上)し、平成15年度事業報告、収支計算書、貸借対照表、財産目録、平成16年度事業計画、収支予算書を付議し、承認を得た。
 盛岡税務署に法人税申告をしたが、単年度収支黒字決算をしたため、法人税、県民税、県事業税、盛岡市民税など合計461000円を納入した。
 沢内村川舟集落の民家の屋根葺替用茅が不足し、緊急に六原倉庫から600束を出荷した。
(6月)
 代表、蒲田会員が参加し、県庁、金ケ崎町、水沢広域森林組合の関係者とともに五箇山地方相倉集落など茅葺現地調査を行い、平村、上平村の役場及び森林組合の担当者の話を聞き、造成中の茅場などを見学した。
その後、委員会側は別途行動として白川郷訪問、和田棟梁の民宿に一泊して話を聞く。翌々日長野県小布施町を訪ね、茅葺工事現場スズキ産業施工)を見る。
 六原倉庫の屋根修理、大型シャッタードアの開設工事が終了した(県実施)。
(8月)
 茅畑造成実験事業(茅株の分割植付による畑の造成)を委員会の手で開始した。
 委員会と盛岡地方振興局土木部の間で御所湖広域公園南部曲り家の葺替等業務委託契約を締結した
 茅葺技能士制度の可能性を探るため県庁所管課を代表が訪問し、担当者の説明を受けた。法律改正の必要があり、全国的推進がないと困難であり、民間団体の自主的な資格、呼称制度を設け、世間の認知を受ける方が容易であることが判明した。 
 委員会、県庁、金ケ崎町のホームページで茅葺技術研修生の募集を開始
(9月)
 同時にテレビ、ラジオ、新聞等の報道機関が岩手茅葺き促進委員会の職人研修生募集のことを報道した。
 水沢広域森林組合が金ヶ崎町に茅場経営の事業主体になることを辞退する旨の連絡があったので、金ケ崎町産業開発公社を中心に検討を進めることとなった。
(9月)
 金ケ崎町と委員会の間で茅葺職人養成研修委託業務契約を締結した。
 盛岡地方振興局委託業務の御所湖広域公園南部曲り家葺替工事を開始した。これと同時にこの場所で職人養成現場研修を開始した。
 平行して、金ケ崎町伝統的建造物群大沼家の屋根葺替現場でも現場研修を開始した。 
 金ケ崎町が緊急雇用対策事業により千貫石地区の環境整備事業として茅刈及び茅場整備作業を実施することとなり、その業務は金ケ崎町シルバー人材センターに委託された。
(10月)
 山形村結いっこの会(木藤古徳一郎会長)主催の講演会が山形村公民館で開催され、代表その他が講師として出席した。
 町に寄付された葛巻町藤岡家の実態検分を行い、今後の修復方法について協議した(町教育委員会生涯学習課長同行)。
 福島県只見町主催の茅葺研修団を委員会が受入れ、岩手県立農業大学校研修館での説明、大沼家、御所湖広域公園曲り家の茅葺現場見学などのプログラムを提供した。
 申込書を提出した研修生希望者の面接、選考、金ケ崎町町長の同意などの手続きを経て、研修生(A)4人及び研修生(B)3人の登録を行った。
 金ケ崎町の千貫石茅場および六原茅場(2箇所)での茅の収穫作業を開始した。
(11月)
 11月末の強風で茅島の7割が倒壊したが、直ちに復旧作業を行うとともに、茅島の倒壊対策を講じたが、委員会はその技術指導を行った。
 千貫石茅場にある岩手県肉牛生産公社の放棄施設を茅倉庫として使用するため、降雪以前に応急修理工事を行った。
(12月)
 茅の収穫(島立てまで)を完了したが、収穫量は15800束と見込まれる。
 御所湖広域公園南部曲り家の屋根葺替工事が完工し、盛岡地方振興局の検査を無事終了した。これとともに現場研修を終了した。
 茅葺職人研修プログラムのうち、残った集合研修及び視察研修(合計1週間)を実施し、初年度の研修事業を完了した。
(1月)

2005年(平成17年)
 (1月) 
委員会仮理事法務局登記手続きを行う。
盛岡地方振興局より御所湖広域公園南部曲り家葺替工事の業務完了認定書を交付され、委託業務費の支払を受ける。
職人養成研修プログラム(平成16年度)の集合研修を岩手県立農業大学校研修館及び施設で開催(1週間)
引き続き視察研修(遠野及び宮城県)(1泊2日)を実施。
(2月)
仮理事による臨時総会開催、理事選任、監事交代及び定款改正(役員の任期に関する条項の改正)の決定を行う。岩手県知事への承認申請及び法務局登記を行う。
職人研修生の研修プログラムに対するアンケートを回収。来年度の計画に反映させる予定。
(3月)
 決算事務の処理。
 3月末までに六原倉庫保管中の委員会生産の茅は全量出荷された。
(4月)
千貫石茅場の道路除雪(金ヶ崎町)施行。茅倉庫屋根(昨年末川村建設修理)は無事とのこと。
世田谷区深沢の茅葺き民家の葺替の照会が相談窓口にあり、廣田工務店と泣Xズキ産業の間で契約。吉岡も現場視察(廣田工務店主案内)を行う。
茅葺き通信第11号発行。ホームページ更新。
(5月)
岩手茅葺き促進委員会平成17年度通常総会の開催(11日、松園センター)。決算、予算、事業報告、理事選任、監事改選など。後日岩手県知事への報告書提出。
滝沢村教育委員会事務局生涯教育課及び公民館から担当職員出席。上田邸葺替工事業について説明あり。
委員会主要会員、泣Xズキ産業、村上企業、金ヶ崎町役場、シルバー人材センター、岩手県立農業大学校などの間での本年度事業についての協議を行う。
金ヶ崎町茅場産の山茅の商品名を「南部茅」とすることに決定(高橋町長の同意を得る)。
盛岡税務署に法人税申告し、赤字決算のため無税。県民税均等割2万円、市民税均等割5万円を支払う。
盛岡地方振興局企画総務部に平成16年度総会決議事項の報告書(知事宛)を提出する。
滝沢村より上田邸葺替業務委託に関する見積書その他の書類提出を求められる。
(6月)
浄法寺より田口青年の熱心な研修希望があり、武田家に入れることとしたが、1週間未満で欝の気配あり、家に帰した。
日野杉栄さんを挙部萱の技術顧問とすることに関係者間の同意成立。
武田家訪問の米国ダニエルズ中学校生徒に吉岡より英語で武田家の説明をする。
滝沢村上田邸葺替業務に関する関係者の最終協議(吉岡、戸田、蒲田、村上、杉村、滝沢村シルバー人材センター、その他)を終える。
滝沢村契約課に委託業務見積書を提出し、受理される。契約書の交換を行う。
金ヶ崎町との間に職人養成研修業務委託契約を締結する。
岩手日報日曜版に岩手茅葺き促進委員会代表の紹介記事が掲載された。
上田邸足場工事終了。
(7月)
1日朝、上田邸に集合し、葺替工事・現場研修プログラムの説明を委員会側より行う。(委員会より吉岡、戸田、蒲田、瀬川京子、杉若、吉岡澄子参加)
武山棟梁
職人・研修生:遠藤、山内、佐々木、吉田、糸井
現場管理者:村上史佳、他 1人
その後、神事を行い、上田邸葺替工事を開始。
11日、研修プログラムによる第1回現場研修(武田棟梁指導)(1日間)を上田邸で実施した。
16日. 上田邸第一回見学会開催。役場側、委員会側(吉岡夫妻、戸田、蒲田、瀬川京子、杉若)、泣Xズキ産業鈴木社長、東広社(林、小貫)。一般参加者は10名程度。
御殿場勇和産業長田社長より茅場の機械化について照会あり。
20日. 上田邸第2回現場研修(平葺研修)を実施。(佐々木入院)
芝棟のつくり方について、日野杉栄棟梁の指導によって研修及び工事を実施することについて、武山、日野杉、鈴木社長の同意成立(戸田斡旋)。
村上和子氏主催「茅葺技術の養成伝承組織結成総会」開催。委員会より戸田出席。協議会が結成された由。藤沢町の山口棟梁に集合研修教師を依頼した由。
  (8月)
一戸町教育委員会御所野縄文博物館学芸員中村氏より相談窓口に茅の全国情報について質問があった由。朴の木館、縄文住居など葺替需用が起きているとのこと。
4日、山芝採取研修を実施(畜産研究所外山試験地事務所前に集合。外山氏見地内の山芝叢生地で日野杉棟梁から指導を受ける。)。必要量の山芝を採取して上田邸に運搬する。
上田邸現場で芝棟の作り方について日野杉、武山棟梁の打合せが整い、武山棟梁の手で行うこととされた。
10日、吉岡家住宅で上田邸茅葺き関係者全員(約30名)を昼に呼び、ビュッフェランチスタイルで懇親会を実施。
17日、宮城県沖地震発生(お昼)。県内とくに被害なし。
18日、上田邸葺替工事完了。
24日、上田邸工事完了検査実施(滝沢村契約課、戸田、蒲田、村上立会い)
新NPO法人「南部曲り屋の会(仮称)」設立計画について関係者の内意打診。好意的反応多い。
奈良の茅葺き棟梁隅田さんより電話あり、御所野縄文公園で見た「樹皮葺き」の本来の呼び方について質問あり。日塔氏に聞いて手紙で返事をする。
(9月)
4日、 挙部萱設立。
世田谷区深沢の茅葺き民家の屋根葺替に茅葺職人・研修生5人が仕事中。20日ごろ終了して、天童の縄文住居に入る予定。
岡山県、神奈川県中井町などに茅葺き需用がある由(泣Xズキ産業)
山形村訪問(吉岡夫妻、戸田、蒲田)。木藤古ばったり村その他。
御所野縄文博物館訪問(吉岡夫妻)。御所野縄文公園及び朴の木館見学。
23日、上田邸関係茅葺き民家・茅場見学ツア(上田邸、御所湖広域公園南部曲り家、武田家、千貫石茅場、大沼家)開催。戸田、蒲田、杉若、東広社同行。
(10月)
藤沢町に山口棟梁訪問(戸田、吉岡夫妻)。集合研修指導を依頼。岩手県立農業大学校研修館への往復交通について取り決める。その後、棟梁の葺いた大型茅葺き民家山口家(山地主)を訪問し、見学した。
吉岡が滝沢村三浦教育長、柳村村長に面会。シンポジュームの挨拶と吉岡家の村への寄付をやめてNPO法人にしたい、と話し、同意を得た。
紫波町武田家の屋根葺替工事が中旬再会されるので、ここを現場研修の場とすることに決定。
山形村ばったり村研修館の屋根修理の下見つもりを日野杉、佐々木、戸田で現場点検の上行った。
14日夜、吉岡、戸田、村上と日塔、石光とで湖山荘で懇談。
15日、滝沢村公民館会議場で「茅葺き建造物の維持活用を考える」シンポジューム開催。参会者約100人。
同夜、盛岡市の駅前ホテルレストランで打上会(日塔、桜田、村上、吉岡、東広社2人)
県庁農林水産部技術普及課を吉岡、戸田訪問。委員会活動について意見交換。来年度3年目の金ヶ崎町への補助事業を要求するとのこと。
岩手大学、北大の助教授、研究員が来訪。茅葺き運動について聞き取り。
30日、吉岡、滝沢を車で出発。横浜へ。
(11月)
紫波町武田家の工事現場で第二回現場研修実施。
視察研修実施(蒲田会員引率、研修生5人参加)。車2台で福島県奥会津大内宿、只見町、舘岩村の茅葺き集落視察、宮城県多賀城市東北歴史博物館茅葺き民家園など視察、地元との情報交流などを行った。2泊3日。
滝沢村委託事業の業務報告書を滝沢村に提出した(郵送)。
14日、集合研修を岩手県立農業大学校研修館で開催。武山棟梁不参加のために、山口棟梁の差し茅指導を1日延長し、鈴木社長の話も入れる。吉岡も一泊で状況視察に横浜から往復した。
最終日は雫石砂利工業に移動し、日野杉栄棟梁から芝棟づくりの研修を受ける。
千貫石茅場、六原茅場の茅刈り作業を視察したが、シルバー人材センター登録作業員が4集団(4〜5人)くらい入っており、熱心に収穫していた。刈払機の集草装置や茅束整形装置が使用されていた。気運高まった感じである。
21〜22日、茅葺き現場研修第3回を吉岡家の角修理を当てて日野杉栄棟梁から指導を受けた。
(12月)
 金ヶ崎町委託の「茅葺き職人養成研修業務」の業務完了報告書を金ヶ崎町に提出(郵送)した。
神奈川県中井町古怒田集落の茅葺き民家「実生庵」の葺替工事が泣Xズキ産業請負で施工された。宮城、岩手の職人・研修生が従事。吉岡も1日訪問。NPOの二宮氏、所有者などに会う。
御殿場茅場を添田、蒲田など視察(勇和産業)。
全国的な大雪が降り、金ヶ崎町の茅場も降雪で茅が倒れ、収穫途中で作業を中断せざるを得ず。目標2万束が去年並みの16,458束(去年16,483束)に留まる見込みの由(添田)。自然相手の仕事は仕方ない。茅の相場が上がるという反応もあるとの鈴木社長談。

2006年(平成18年)

 1月 神奈川県実生庵において南部茅葺士が前年来茅葺を施工、月内に完工し、落成式が関係者で行われた。

 3月 茅葺き通信第12号及び滝沢村上田邸関係シンポジュウム特集版の制作が完了し、関係方面へ配布した。また上田邸茅葺施工ビデオDVD制作を終わり、委託元の滝沢村教育委員会に提出した。

 5月〜6月 平成18年度通常総会を開催し、17年度の事業報告、収支決算、18年度の事業計画、収支計画などについて審議し、承認を得た。

 盛岡地方振興局(岩手県知事)に所定の報告書類を提出した。

 盛岡税務署に法人税税務申告、続いて県民税、市民税の納税を行う。

7月 平成18年度茅葺職人養成研修事業委託契約を金ヶ崎町と委員会の間で締結する。 

本年度の職人養成研修プログラムのもとでの現場研修として、第一回の現場を春子谷地展示小屋の屋根葺き(日野杉棟梁、佐々木組3人)と並行して実施した。

久慈市バッタリ村の研修館の屋根葺替工事の受託準備として、委員会関係者による現地調査を行った。

外山牧野で山芝の採取研修を行い、春子谷地の展示小屋の芝棟づくり研修に使用した。

山茅機械刈取機の開発を目的として、一関市内農家所有の条桑刈取機(中古品)を見学・点検したが、茅の刈取りには不向きとの結論に達した。

 8月 日野杉棟梁の説話研修会を研修生3人のために開催した(於鞘屋敷)。

 9月 武田家を守る会主催の同家見学会に委員会として代表、副代表、会員が参加し、茅場造成、茅葺などについて、見学者に状況説明を行った。

   茅葺産業の発展を促進するため、関係会社等(泣Xズキ産業、金ヶ崎町産業開発公社、挙部萱、渠建工業、岩手茅葺き促進委員会の5者)を構成員とする茅葺事業振興協議会を発足させた(事務局は委員会)。

   久慈市旧山形村バッタリ村において、林野庁補助事業の導入計画について関係者による合同協議を実施した。委員会は、研修館(茅葺民家)の屋根茅葺工事の請負を行うことを決定。

 研修館葺替工事の施工に入るとともに、職人現場研修の現場として使用した。

10月 職人養成研修の視察実技研修として、研修生(5人)は、五箇山の合掌造り民家茅葺作業(同地森林組合の施工)に参加し、研修の実を挙げた。

 バッタリ村研修館の葺替工事が完了した。

 鞘屋敷(滝沢村)において研修生に対する現場研修(大工研修も含む)を実施した。

11月 本年度茅葺職人養成研修事業の集合研修を岩手県立農業大学校研修館において開催。模型屋根を使用した武山棟梁(宮城)によるおがみ葺の研修、奈良の隅田隆蔵棟梁(文化庁認定伝統技術保有者、全国で1人)による説話など行った。

集合研修終了後、3ヵ年間の茅葺職人養成研修プログラム(岩手県・金ヶ崎町委託事業)の終了行事を委員会主催で行い、5人の研修生に対し、終了証書を交付するとともに、「南部茅葺士」の称号使用を認めることとした。県及び町からの来賓出席もあり、地元の新聞、テレビなどによって報道された。

 

2007年(平成19年)


平成19年度通常総会開催(5月7日)(松園活動センター)
平成18年度事業報告書、収支計算書その他決算書類、平成19年度事業計画書、収支予算書などを審議、承認。  
盛岡地方振興局経由岩手県への報告書類提出   
平成18年度事業報告書、収支計算書その他決算書類

納税事務の処理
盛岡税務署 法人税、消費税の申告。法人税は赤字決算のため無税査定、消費税は9万円強と査定(簡易課税制度によるとの届出をしていたため。委員会の場合は一般課税方式の方が有利であった。)そこで、一般課税制度の戻す旨の届出をする。ただし、来年度から適用される。
盛岡地方振興局税務課 県民税の申告。 県税均等割2万円プラス2000円(いわての森づくり県民税の新設)を納税。
盛岡市役所市民税課 市民税の申告。均等割5万円を納税。
理事重任登記申請 盛岡法務局登記部門 登記完了(5月16日).
岩手県知事宛の役員変更届(登記簿謄本写添付)提出(盛岡地方振興局経由)

他の茅葺保存活動への支援・協力
岩手県紫波町指定文化財「武田家」を守る会主催見学会への協力。
群馬川場村における世田谷市民の茅場開発、管理、収穫活動への技術指導(戸田副代表)。
海外茅場調査プログラム(日塔和彦氏主宰)のハンガリー調査の日程作成、通訳・案内者の斡旋、調査報告書作成などへの協力
昨年度のバッタリ村研修館(久慈市)茅葺工事を含む都市農村交流事業(岩手県知事、総理大臣表彰)への協力者に対する主催者木藤古徳一郎氏の謝辞掲載(岩手日報投書)

茅葺職人に対する支援
茅葺職人(南部茅葺士主体)の施工情報の収集・連絡
山形県天童の縄文遺跡茅葺工事(1月15日から約1ヶ月)
広島県庄原市の国の重要文化財民家の茅葺工事(3月中旬以降)
角館武家屋敷茅葺工事、茅ヶ崎の民家茅葺工事
茅葺職人の就業環境、待遇などに関する聞き取り調査と収集情報の茅葺企業への提供(休日の取決め、遠隔地での長期工事の場合の帰宅など)。
東西茅葺技術交流の実施(隅田隆蔵棟梁の岩手招待・日野杉栄棟梁との技術交流(8月.6日.~8日.)
大学新卒(千葉工大建築科)の山田翔太君(一関出身)への情報提供と手元職人としての就業の世話(12月22日).

茅葺需要情報の収集
岩手県西根町の南部冨士カントリークラブ、みちのく民俗村(北上市立博物館)、遠野市、八戸市などの茅葺需要聞取り調査
北上民俗村の差し茅見積現場説明会(10月3日)(挙部萱から見積書提出)
遠野市の茅葺き資金計画発表(9月7日、岩手日報)
岩手県矢巾町龍泉寺山門茅葺屋根の常時維持管理の受託(日野杉、挙部萱)
茅葺関係企業の経営への支援
金ヶ崎町産業開発公社(茅の企業生産)の茅場開発管理・収穫・保管(茅の品質改善対策を含む)などに関する技術的経営的助言・勧告
金ヶ崎町シルバー人材センター登録作業員研修会における技術指導 
泣Xズキ産業と挙部萱の業務連携関係への助言
職人の就業環境・待遇の改善と茅葺経営の在り方に関する助言
茅収穫作業の能率向上を目指す茅刈機の導入実験
イタリー製葦刈機の輸入の斡旋、輸入茅刈機の試運転と改良個所の発見指摘(11.27日)。
輸入茅刈機の正式納入(刈り歯の高さ調整装置の改造(固定)後)と宮城(郷ズキ産業)への移送(12月17日)。

広報活動
「茅葺叢書」(オンデマンド発行)第一号「隅田棟梁覚書」刊行
茅葺き通信第13号の印刷配付(500部印刷、300部郵送配布)(3月1日)
茅葺事業振興協議会アピール文書の作成、送付(横浜市環境創作局、神奈川県教委宛メイル)(3月)
茅葺DVDの制作配付(委員会制作「岩手の茅葺き」、隅田棟梁のNHK全国放送、その他)
国民生活センター月刊誌の取材に協力。雑誌掲載。(9月)
岩手大学教育学部主催国際シンポジュウム・ポスターセッションに委員会のパネル写真を掲示。
茅刈り講習会(実技研修)の朝日新聞一関支局、胆江新聞、農業新聞の3社記者の取材に協力。(10月)


晩秋の早い大雪
岩手北上・金ヶ崎地方に早い大雪、30〜40センチの積雪(11月.19日)
続いて数日間、北東北に大雪(11月.22日)。千貫石茅場も40センチ積雪数回
茅刈作業は中止、終了。島立て数量は約10,000束(昨年の半分)。在庫があるので適当な生産調整となる。

2008年(平成20年)

高橋金ヶ崎町長より、岩手茅葺き促進委員会に茅場開発により町政に貢献したとして感謝状の贈呈を受けた(1月4日年賀会席上)。(戸田副代表受領)
第二号「日野杉栄棟梁語録」刊行
茅葺工事(南部茅葺士参加)の施工情報の収集
茅ヶ崎の工事(1月中旬まで)、青梅市沢井の小澤酒造母屋の葺替工事(1月下旬〜3月中旬、中断)、北秋田市の植樹祭現場の「おのだちだい(御野立台)」(天皇の休息所)の茅葺工事(3月10日〜月末)、青梅の工事現場に復帰再開(5月連休明けまで)、岩手県矢巾町龍泉寺山門屋根葺き工事(岩手組2人)(挙部萱請負)(5月中旬〜6月初旬)、茨城県つくば市文化財八角堂葺替工事(宮城組、郷ズキ産業請負)(5月中旬〜約2ヶ月間)
通常総会の開催(5月14日)
岩手県知事への報告書提出(5月中旬)

税務処理
盛岡税務署、盛岡地方振興局税務課、盛岡市役所市民税課(5月下旬)
茅の人工増殖実験・調査(千貫石茅場)(5〜10月)  
茅の収納時の品質規格分類(A、B、C)選別と分類別収納の指導(5月)
矢巾町龍泉寺山門茅葺工事(南部茅葺士二人従事)への支援
紫波町武田家茅葺施工終了落成式行事への参加(6月8日)
ホームページ更新(予定)
茅葺き通信第14号発行(予定)
その他(予定)

 茅葺き通信第13号を発行した。

茅葺叢書第1号「隅田隆蔵棟梁覚書」を発行した。今後希望者には実費頒布する。

7月〜(計画中)

 ホームページ更新

 葦刈取機の実験輸入計画の推進

 県内環境関係企業などへの協力要請活動

 茅葺産業の技術経営問題への取組み

 茅・茅葺需要情報の収集

 その他